2008年07月08日

環境[ヒートアイランド]

環境用語ヒートアイランド


ヒートアイランド(Heat island)は、都市部の気温がその周辺の非都市部に比べて異常な高温を示す現象。高温により自然環境が影響を受け、住民の生活や健康にも影響を及ぼすことから、近年問題視されている。対策を行わなければ、人口の集中がある場所では例外なく起こる現象で、都市の規模が大きいほどヒートアイランドの影響も大きい傾向にある。
は、世界有数のヒートアイランドの例と言える。上のグラフは関東地方の 9月の平均気温の変動を示す。東京の気温は1930年頃に横浜を上回り、1980年代からは地球温暖化の気温#平均気温|進行による急上昇も顕著になる。また南から北へと風が流れる夏場の関東では、最大の熱排出源である東京より北方での気温上昇が大きく現れている。
特に冬場や夜間の気温上昇が著しく、東京では1920年代は年間70日程度観測されていた冬日がほぼ皆無になり、熱帯夜の日数は3倍以上に増加している。




概要

ヒートアイランド」という語は英語からきており、直訳すると「熱の島」であるが、これは気温分布を描いたとき,等温線が都市を中心にして閉じ,ちょうど都市部が周辺から浮いた島のように見えることに由来する。この異常な温度上昇の主な原因は、端的に言えば都市化に伴う環境の変化だといえる。もともと土砂や植物で覆われていた場所に人間が定住すると、建物ができ、熱が放出されることになるが、都市ではこれが広範囲・高密度に現れ、気候の変化をもたらすのである。ヒートアイランドが進行すると、都市部のみならず周辺部の気温も異常上昇させ(上図参照)、気象現象にも変化が現れる。その例としては気温の上昇により生じた上昇気流による突然の豪雨、落雷や、局地的な異常高温が挙げられる。また、近年高層化が進むビルが、海や川の沿岸部に建てられ、風の流れを遮り、それがさらに都市部の高温化に拍車をかけていることがわかって来ている。ヒートアイランドの緩和策としては、緑地を増加させたり、不用な排熱を減らしたりといった対策が行われる。



ヒートアイランドの観測と評価

ヒートアイランドの程度や状況を把握するのに最も広く用いられているのが、リモートセンシングである。センサーを搭載した人工衛星により都市とその周辺部の表面温度などを観測するもので、効果的にデータを得ることが可能である。また、地上などでの気温の観測データは、都市化の前後を含めた長期のデータがあれば、都市部と郊外部の気温変化を比較することによって高精度のデータを得ることができ、これも有効であるとされる。夏日、真夏日、猛暑日といった日数の変化も、間接的に気温の変化を表すデータであり有効とされている。一方、定量的な指標ではないが、初雪、初氷、雪日数といった季節現象、桜の開花、紅葉、セミの初鳴きといった生物季節観測|生物季節の変化もヒートアイランドの影響を知る手がかりとして用いられることがある。



原因

ヒートアイランド現象の原因とされるものを挙げる。どの要素がどの程度ヒートアイランドに寄与しているかは解っていない。

  • 樹木や裸地の減少による、降雨の地面への浸透減少、ひいては蒸発・蒸散量の減少。

  • 大気汚染による、大気が吸収する太陽エネルギーの増加(地球温暖化)。

  • 光反射率の低いアスファルトやコンクリートに覆われることによる、地表面が吸収する太陽エネルギーの増加。緑被率の減少。

  • アスファルトやコンクリートによる蓄熱(夜になってもアスファルトやコンクリートからの熱により、気温が下がりにくい)。

  • 樹木の減少や舗装によって起こるアーバンドーム(都市部がはげ山と同様の状態になる現象)による土中の保水力低下。

  • 産業活動や自動車、空調設備などによる人工排熱。

  • オフィスビルの情報機器による人工排熱。

  • 高層建築物による、風の流れの変化。

  • 湾岸部への高層ビル建設による海風の遮蔽。



    影響とその対策

    ヒートアイランドにより発生するさまざまな影響を以下に挙げる。

  • 恒常的な気温の上昇。寒波のリスクの減少と熱波のリスクの増加。

  • 気温の上昇による、冷房や空調設備への電力需要の増加、弊害が発生。

  • 気温の上昇による光化学オキシダントの増加。

  • 気温の上昇による大気の循環の変化。集中豪雨などの局地現象の変化。

  • 気温の上昇による生物への影響。

  • 気温の上昇による水資源の需要増加、蒸発量増加による資源量減少などの影響。

  • 気温の上昇による人体への影響。熱中症の危険性増大、不快感の増大など。

  • 以上の諸影響による社会的な影響。健康被害による経済損失、電力需要増加によるエネルギー負担の増加。

  • 地球温暖化への寄与。なお、ヒートアイランドは海岸沿いの都市より内陸の都市で顕著に見られる。海岸沿いの都市では、比較的温度変化の少ない(=比熱が小さい)海水に触れた冷たい大気が海風に乗って都市を冷却する一方、内陸ではこの冷却効果がほとんど無いためである。内陸の盆地内に位置する都市は大気の循環が悪いため、特にヒートアイランドの影響を受けやすい。日本の最高気温を記録した熊谷市や多治見市はその顕著な例である。



    緩和策

    太陽光の吸収量を減らす、排熱を減らす、冷却効果を高めるといったことを目的に緩和策が取られている。

  • 緑化、近年は屋上緑化・壁面緑化の採用も多い。東京都や兵庫県においては条例によって一定の条件下で屋上の緑化が義務付けられている。また多くの都市で助成金が出る。

  • 高光反射率素材・塗料の採用。

  • 透水性舗装・保水性舗装・遮熱性舗装の採用。

  • 「風の道」の確保。水上や郊外から涼しい空気が都心に流れやすいようにする。シュトゥットガルトの事例やベルリンのポツダマープラッツ周辺再開発に伴う事例が有名。

  • 散水、打ち水。

  • 自動車・航空機などの輸送機器、建築物(空調・給湯)からの人工排熱の抑制(利用の抑制、公共交通機関への移行およびモーダルシフトの促進、効率の高い設備の採用など)。

  • 根本的対策としては、郊外への人口分散による都心の過密解消。ただし、郊外に移転した人たちがより一層マイカーを使うようになっては効果は薄れる。



    関連項目




  • 気温

  • 気象

  • 気象学

  • 熱帯夜

  • 熱中症

  • 都市気候

  • 大気汚染

  • 地球温暖化、温室効果、砂漠化

  • 緑地、緑化、屋上緑化

  • ドライミスト

  • 緑のカーテン

  • 打ち水



    外部リンク


  • 打ち水大作戦

  • 東京都のヒートアイランド対策

  • 大阪府のヒートアイランド対策

  • 日本ヒートアイランド学会



  • 日本の環境首都コンテスト 関東地域交流会 2006 群馬県館林市のヒートアイランド対策が先進事例として紹介されている。

    Quotation:Wikipedia - Article - History  License:GFDL
  • posted by かっきょ at 02:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 用語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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